こんな疑問に答えていきたいと思います。
結論から言うと、フランスはスリや置き引きは多いです。日本の感覚で過ごしていたら簡単に盗難に遭ってしまうので、事前対策は必須です。ただし、スリが多いのはパリやマルセイユなど大きな都市で、田舎へ行くと日本のようにのんびりできる安全な場所も多くあります。
✔︎本記事の内容
フランス(パリ多め)の治安と、安全対策についてまとめました。
この記事を書いている私は元旅行会社勤務で渡仏歴17回、オランダの旅行会社で1年間勤務、ヨーロッパは11カ国訪問し、ナイフを向けられ強盗に遭ったこともスリ(未遂)に遭ったこともあります。
強盗に遭ったのは初めてのヨーロッパでオランダに滞在していた22歳のときで、会社帰りに持っていたバッグを奪われました。近くを通りかかったオランダ人が助けてくれたのでバッグを盗られただけで済みましたが、今思えばあまりにも無防備で能天気でした。
この経験以来、肌感覚で危険を察知できるように、また無意識レベルで気を付けるようになりました。その後スリ(未遂)に遭ったことはスペインで一度だけありますが、実質的な被害に遭ったことはありません。
自らの経験に加えて、知人・友人たちが遭った被害や体験談、旅行者だけでなく現地に住むフランス人・日本人も行っている安全対策をここでは紹介します。
フランス治安の良い地域・悪い地域を渡仏歴17回トラベラーが解説!女性の一人旅安全対策も
フランスの治安について
フランスでは都市部と地方部で治安は異なりますが、都心部においてはスリや置き引きが多いです。コロナ前の2020年3月以前までの約10年間は、平均して年間約500件の被害が在日本国フランス大使館へ報告されています。※報告されていない例もあるので、実際はもっと多いです。
2019年 | 563件 | ほとんどがスリや置き引き |
2018年 | 497件 | 全体の87%がスリと置き引き |
2017年 | 401件 | 全体の88.5%がスリと置き引き |
2016年 | 353件 | 全体の86%がスリと置き引き |
2015年 | 463件 | 全体の62%がスリ、26%が置き引き |
2014年 | 622件 | 全体の59%がスリ、27%が置き引き |
2013年 | 718件 | 全体の60%がスリ、25%が置き引き |
2012年 | 817件 | 全体の70%がスリ、20%が置き引き |
2011年 | 709件 | ほとんどがスリや置き引き |
被害のほとんどがスリや置き引きで、地下鉄や鉄道駅、駅構内、パリではオペラ座やルーヴル美術館、シャンゼリゼ通りなど人気の観光地で起きています。
せっかくの楽しみな旅行で必要以上に心配しないようにするためにも、旅行前には情報を集めた上で事前準備をすることが大切です。
治安については外務省の海外安全ホームページを参照するだけでなく、外務省が運営しているたびレジに登録して安全情報をチェックすることをおすすめします。
フランス都市ごとの治安に注意するエリア
Paris(パリ)
パリの治安は、セーヌ川を境に北側の右岸(Rive Droite)と南側の左岸(Rive Gauche)で治安が異なると言われています。
地図出典元:Designed by Freepik(規定に基づき一部加工して使用しています。)
避けたほうがいいエリアは、移民が多く貧困層が集まっている18・19・20区と10区の北駅(Gare du Nord)・東駅(Gare de l’Est)。このエリアは観光はもちろん、宿泊する場所としても避けたほうがいいです。観光で有名な場所として知られているのは、モンマルトル(18区)や蚤の市でも有名なクリニャンクール(20区)です。
18区にあるモンマルトルは人気のある場所ですが、パリに住んでいるフランス人友人(男性)も女性の1人歩きは昼間でも避けたほうがいいと言っているくらいなので、有名といっても女性の一人歩きは避けましょう(駅周辺がちょっと怖いです)。
シャルル・ド・ゴール空港からパリ市内までをつなぐRER B線も治安の悪い区域を通るため窃盗や強盗が多く報告されています。
パリの治安については以下の記事も参考にしてみてください。
パリの治安がいいエリア
アートギャラリーやオシャレなショップが多いマレ地区、シテ島やノートルダム大聖堂のあるサン=ジェルマン=デプレ地区、エッフェル塔や凱旋門からも近い15区と16区は比較的治安の良い場所です。
サン=ジェルマン=デプレ地区
オペラ地区
また空港からRossyBusが発着するオペラ付近も落ち着いた場所なので、安全性と利便性を重視するならOpera地区もおすすめです。
Lyon(リヨン)
リヨンはパリよりも治安はいいですが、気をつけた方がいい場所が4箇所あります。
- Guillotiere(ギヨティエール)付近
- Confluenceエリア(夜)
- Gare de Lyon-Perrache(ペラーシェ駅)付近 *夜
- Gare de Lyon-Part-Dieu(パール・デュー 駅)*早朝や夜間
Guillotiere(ギヨティエール)付近
ギヨティエールは旧市街のベルクール広場から橋を超えた先にある徒歩10〜15分くらいの場所です。トラムのT1もすぐ近くを走っていてメトロはDラインの「Guillotiere」駅です。
一見治安が悪そうには見えないのですが、私たちは旧市街のLe Sudからギヨティエール橋を渡って歩いていたら、お店の前に集まり騒いでいる若者が大勢いるところに出くわしました。周辺を見渡すと昼間なのに人気(ひとけ)はなく、その瞬間に「ここはヤバい!」と思いすぐにUターンして走って戻りました。
後で調べたら、ギヨティエール周辺は移民が多くあまり治安がよくないエリアだということを知りました。
ConfluenceエリアとGare de Lyon-Perrache(ペラーシェ駅)
Confluenceエリアとペラーシェ駅は旧市街側にあり、昼間は大勢人がいるので危険な感じはありません。ただ夜は薄暗く人の行き来が少なくなるので注意が必要です。
Confluenceはショッピングセンターもあり賑やかで人も多いですが、夜になるとこのあたりはとても静かになります。トラムに乗って駅を通過する程度なら大丈夫ですが、私だったら夜に到着して空港から大きな荷物がある状態でこのエリアへ移動することは避けます。
Gare de Lyon-Part-Dieu(パール・デュー駅)
パール・デュー駅はTGVやリヨンのサン・テグジュペリ空港から到着/発着するローヌ・エクスプレス駅もすぐ隣にあり、人が多く移動する場所なのでスリや置き引きが多発しています。重いから大丈夫だろうと思われるスーツケースでも目を離した隙に持っていかれたという被害報告があるので注意です。
身軽な状態で少し離れた場所から観察しているとわかるのですが、行き来している大きな荷物を持っている旅行客をじっと眺めているような人が複数名、そのあたりをうろうろしています。パール・デュー駅構内では銃を持った軍も監視しているので多少は安心できますが、警備がある=事件も多いと理解したほうがいいでしょう。
Marseille(マルセイユ)
※追記予定
Toulouse(トゥールーズ)
※追記予定
Pay-Basque(バスク地方)
※追記予定
フランスで実際にあったトラブル事例(ヨーロッパ共通)
パリ・メトロ内でのスリ(特に1番線)
パリのメトロ内でのスリは本当に多いです。在日本国フランス大使館(邦人犯罪被害事例)で報告されている内容のほとんどがメトロや鉄道でのスリや置き引きです。特に観光地へ行く1番線は、集団でスリをしているグループもいるので気をつけましょう。
また、クリニャンクールの駅では日本語で「スリに気をつけましょう」というアナウンスが流れています。それだけ日本人の被害が多いということです。メトロ内で署名を求めて近づいてくる人にも近寄らないようにしましょう。
スリがいるとわかって気をつけていても彼らの手口は巧妙で、感心するほど天才的です。気をつけていたにもかかわらず、夫は混雑するメトロ内で、体の前でしっかり持っていたはずのボディバッグのファスナーが開けられていました。
メトロには発車間際に駆け込んで乗ることはせず、余裕を持って中ほどの車両を選び、ドア付近は避けて座席があるほうへ移動したほうが安全です。バッグは前に抱えて周囲に目を配りましょう。
観光地でのスリ
パリでは凱旋門やルーヴル美術館、オペラ座、シャンゼリゼ通りなどの観光地でスリが多発しています。また、南仏のエクサンプロヴァンスの大聖堂を観光していた友人は、大聖堂内でパスポートを盗まれるということがありました。旅の後半で、気が緩んだ一瞬の間の出来事だったそうです。
パスポートはバッグに入れず常時身につけて、現金は少なめに持ち且つ分散することをおすすめします。
私自身はパスポートを入れたハンドメイドのケースをデニムの下に巻きつけて身につけ、財布は日本で使っているブランド財布からPorterの財布に入れ替え、小銭入れも併用して使っています。現金は必ず3〜4箇所に分散します。
空港や駅、ホテルでの置き引き
スリに次いで多いのが置き引き。空港や都市部の大きな駅では荷物の置き引きが多発しています。日本から到着した直後は気が緩んでいることも多いので、荷物を受け取って出ていく時は気を引き締めましょう。
フランスではないですがスペイン・マドリードのカフェで、トレイにブランド財布をのせてテーブルに移動している日本人の女性たちを見かけたことがあります。これは「財布を盗ってください」と言っているようなものなので絶対にやめましょう。また、バッグを椅子の背もたれに置くのも危険です。
レストランやカフェでは(可能なら)壁側の席を選び、バッグは前に置くようにしましょう。また、列車の荷物置き場に荷物を置く場合も座席から見える場所を選んだり、状況によってはロックをするなど工夫をします(私はワイヤーロックを必ず持参するようにしています)。
夜間、人気(ひとけ)のない場所での強盗
ワーキングホリデーでパリに滞在していた知人の娘さんは、パリ郊外の宿泊施設を予約して泊まっていました。知り合った日本人男性とパリ市内を観光して、帰りが夜になったので男性は最寄りのバス停まで送ってくれたそうですが、バスを降りたところで数名の黒人男性に囲まれ暴行を受けたそうです。
車に連れ込まれそうになったところで次のバスの乗客が降りてきて、黒人男性たちは逃げて行ったそうですが、盗難に遭った上に日本人男性は入院するほどの怪我を負いました。
人気(ひとけ)のない場所に限らず、夜の一人歩きは避けたほうが無難です。宿泊場所は多少高くても、治安がよく利便性のいいところを予約することをおすすめします。
デモに遭遇
デモを予測することは難しいですが、旅行中にデモが起きてしまった場合はそのエリアに近寄らないようにします。近年のフランスではデモが頻発していて暴動化することもあり、街中の物を壊すといったことも起きています。
デモが頻発していた時期にたまたまパリに滞在したことがありますが、そのときはパリに住む友人(フランス人)が駅に迎えに来てデモのエリアを回避してホテルへ送ってくれました。
現地の情報を集めることと回避することが重要です。
フランスで危険を避けるための7つの安全対策(ヨーロッパ共通)
フランスで危険を避けるための7つの安全対策です。
対策1:治安が悪いと言われている場所には近づかない
見極めることが難しい場合もありますが、治安が悪いと言われている場所には近づかないことです。在日本国フランス大使館(邦人犯罪被害事例)で報告されている場所もあるので事前にチェックします。
周囲を見渡してスラム街のような雰囲気だったり、歩いている人に移民が増えてきたような雰囲気を感じたらその場から離れます。
対策2:多額の現金を持ち歩かず、分散する
基本中の基本ですが現金は多く持ち歩かず、また2〜3箇所に分散します。
私は海外旅行へ行く時はふだん使っているブランド財布からPorterの財布に入れ替え、また小銭入れを活用します。ユーロ札は50ユーロや100ユーロ札ではなく5〜20ユーロ札で分けて持つことをおすすめします。
また荷物はコンパクトにして何かあったときでも動きやすいようにしています。カメラも狙われるものの一つなので、人の多い場所では出さないかカメラとわからないようにバッグを工夫しています。
対策3:ホテルは安全なエリアを選ぶ
スリが多いフランスの都会では特に、安全なエリアでホテルを予約することをおすすめします。
選ぶポイントは、「公共交通機関の乗り場が近いこと」「外灯が多く、人通りのある大通りに面したホテルを選ぶこと」の2つです。
また早朝に出発したり夜間に到着する場合は、無理に公共交通機関で移動せずタクシーを利用したり、或いは空港ホテルを選ぶか空港バス発着所から近いホテルを選びます。パリ市内の場合は、RoissyBus(空港バス)が発着するオペラ界隈や、治安が比較的落ち着いていて観光にも便利なサン=ジェルマン=デプレ地区がおすすめです。
- InterContinental Paris Le Grand, an IHG Hotel(5つ星)
- Sofitel Le Scribe Paris Opera(5つ星)
- Hôtel Volney Opéra(3つ星)
- Hotel Caumartin Opéra – Astotel(3つ星)
安全面と利便性を重視!
対策4:夜は出歩くのを避ける(女性1人では出歩かない)
夜の一人歩きは極力避けます。どうしても出かける必要がある場合は、暗い場所や人気(ひとけ)のない場所を避けて外灯や観光客が多く歩いている通りを選びます。とはいえスリは常にターゲットを探して歩いているので、女性一人旅の場合は極力夜は出歩かないようにするほうが無難です。
食事で遅くなる場合は、お店の人にタクシーを呼んでもらうなどタクシーを活用しましょう。
また年末年始のカウントダウンなど大勢の人が集まる場所へ行くときには荷物を少なくしたり、現金を持たないなど狙われてもいいような工夫をします。
対策5:派手な目立つ服装をしない
ヨーロッパの街歩きは現地に馴染むような服装がおすすめです。私の場合は、夏ならデニムやショートパンツにTシャツやカットソー、冬ならデニムやパンツにカットソー+黒系のコートで行くことが多いです。
とはいえ、フランスの夏はカラフルなワンピースで歩いている人たちも多いので、現地に馴染むという前提ではワンピースでもいいと思うのですが、大切なのは何かあったときに身軽に動ける服装でいる、という点です。
レストランでの食事や田舎のオーベルジュへ行く時などは、ワンピースなどちょっとおしゃれな服装で出かけたり村歩きを楽しむなど、状況によって服装を選びます。
対策6:高価なものは身につけない
スリに狙われないようにするには高価な時計やバッグを身につけないことが大事です。
パリのシャンゼリゼ通りを歩いていると、ブランドバックを持って歩いている人たちを見かけますが、だから大丈夫だと真似することは危険です。パリに住んでいる富裕層の人たちは車やタクシーを利用して移動しているので、スリが近寄る隙がありません。
日本人はそれだけで狙われるリスクがあるので、メトロを利用したり歩いて移動する場合には特に、高価なものは身につけず狙われないようにすることが大事です。
また日本ではよく見かけますが、後ろポケットに財布やスマホを入れることもフランスでは「盗んでください」と言っているようなものなのでやめましょう。横ポケットにも貴重品は入れないようにします。
対策7:知らない人から話しかけられても応じない
観光地では物売りや道案内、またメトロのチケット売り場などでも現金がないから貸してほしい、などと様々な人が話しかけてきます。署名を求めてくる人も多いですが、相手にしている間に貴重品を盗まれるということがあります。
メトロ(改札外)ではしつこく追いかけて数名から囲まれることもあるので、基本的には応じない(反応しない)ようにしましょう。
いざというときに備えるもの
スマホはSIMかモバイルwifiを利用して常に使えるようにする
スマホはいざというときに使えるようにSIMカードか、モバイルWiFiを利用します。通信ができる状態にしておくことでいざというときに使えると安心です。また、緊急時の連絡先をあらかじめ登録するか手帳に書いておくことをおすすめします。
緊急時の連絡先は、在フランス大使館やクレジットカード会社、銀行の盗難時の連絡先を登録または記載しておくと便利です。
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海外旅行傷害保険に加入する
トラブルだけでなく、ヨーロッパでは航空機遅延もよくあるので、海外旅行傷害保険に入っておくことをおすすめします。海外旅行傷害保険に加入することで万が一のトラブルに備えることができます。※航空機遅延はオプションで付いている場合が多いです。
ラウンジが使えるなど手厚いサービスが付いているゴールドカードを一枚持っていると便利ですが、年会費が高いというデメリットもあるので、旅好きなら年会費無料で海外旅行傷害保険も付帯している エポスカード を一枚持つことをおすすめします。
単体で海外旅行保険に加入するなら、コロナに関わる補償が豊富な tabiho か、手続きが簡単な損保ジャパンがおすすめです。私は比較してどちらかで契約することが多いです。
パスポートコピーをとっておく
万が一に備えて、パスポートのコピーをとっておくことをおすすめします。もしパスポートが盗難に遭ったときは再発行するとき短縮するのに役立ちます。但しコピーはむやみに表には出さず、手帳など盗難に遭うリスクがない場所に保管しておきましょう。
緊急事態に備えて連絡先一覧をメモしておく(手帳活用)
万が一盗難に遭ったときの緊急連絡先一覧をメモしておくことは重要です。
- 在フランス日本国大使館
- クレジットカード緊急連絡先 ※クレカが盗難・紛失した場合
- 銀行の緊急連絡先 ※銀行カードが盗難・紛失した場合
- 保険会社の緊急連絡先
可能なら語学力をある程度身につける
もし可能なら、語学力(英語かフランス語)はある程度身につけておいたほうがトラブルに遭ったときに対処がスムーズになります。また英語が話せるとコミュニケーションがとれて現地での滞在がより楽しくなるのでおすすめです。
コミュニケーションに困ったときは、iPhoneを使っているならiOS14以上で無料で装備されている翻訳アプリ(音声付き)が意外と使えるのでおすすめです。10カ国語に対応していて、これは本当に便利なので練習も兼ねて試してみてください。
より正確さを求めるなら、荷物は増えますが、通訳機能が付いている POCKETALK(ポケトーク)
(個人的にはiPhoneユーザーなら、無料の翻訳アプリでいいかなあ..と思います!)
- InterContinental Paris Le Grand, an IHG Hotel(5つ星)
- Sofitel Le Scribe Paris Opera(5つ星)
- Hôtel Volney Opéra(3つ星)
- Hotel Caumartin Opéra – Astotel(3つ星)
安全面と利便性を重視!